2ヶ月ほど前、僕のいる会社の近くにラーメン屋ができた。
開店直後に行ったところ、味は(東京の人にとっては)普通のとんこつラーメンで、
値段は600円。
正直言って、それほど積極的に食べたいとは思わなかった。
が、他のラーメン屋に行くためには東西南北どちらに行っても
1km近く歩かなければいけなかったため、
昼時の会社員にとっては重宝する。
「これはうまい所につくったな」と思ったものだ。
ついでに言えば、バイトの女の子がかわいかった。


その店ができて2週間とたたないうちに、走れば10秒とかからない場所で
新しい飲食店の工事がはじめられた。
僕としては、あぁまた昼飯のレパートリーが増えるな、
程度にしか思ってなかった。
それからさらに一週間くらいたって、内装工事中の
店を覗いてみてちょっと複雑な気分になった。
どうみてもラーメン屋だったのだ。
この圏内に二つもラーメン屋はいらないよなぁ、
と思ってまたしばらくしたら、新ラーメン屋の看板に吃驚した。
ラーメン1杯180円のチェーン店だった。


これはやばい。正直、味的なアドバンテージがない
旧ラーメン屋では勝てるわけがない。
案の定、新ラーメン屋の開店時には行列ができた。
絶対に旧ラーメン屋では見られなかったものだ。
新ラーメン屋ができて2週間後、旧ラーメン屋をみたら
「都合により臨時休業」となっていた。
ま、一日くらいなら…というところだが、一週間くらいそれが続いた。
あ、これは逃げたな。と思ったものだが、しかし旧ラーメン屋は
帰ってきた。


しかし、帰ってきたラーメン屋はすべてが違っていた。
今まで外にはディスプレイがなかったのが、看板が立っている。
メインのラーメンがとんこつではなくしょうゆになっている。
値段が、600円から400円になっている。
帰ってきたラーメン屋のオヤジに何があったのか思いやりながら、
生温く帰ってきたラーメン屋を応援しようと思う。


僕は、帰ってきたラーメン屋の隣にある定食屋の常連であり、
ラーメンはそこから1kmくらい歩く一杯500円の博多ラーメンを食べている。